第104回(2022.6.4)
若宮八幡社と若宮まつり
令和4年5月若宮まつり再興
江戸後期の若宮周辺
令和4年5月15~16日、コロナ禍で中止されていた本格的な若宮祭が3年ぶりに門前町の担当で晴天に恵まれ再開されました。16日本祭では山車や神輿が本町通を那古野神社まで曳行、総代会会長・岡谷篤一氏の岡谷鋼機(株)前にてからくり披露「コロナ退散」人形囃子も話題となりました。
350年余の歴史を誇るイベントの再興で久しぶりに栄ミナミの賑わいが戻りました。前日日曜日の宵祭では午後4時よりキッチンカー大集合、恒例の名物料亭蔦茂のわらび餅も人気で多くの子供たちも加わり境内は1000人近い人出で大賑わい。十数年ぶりに門前町への山車曳行もあり、大須地区に歴史と文化の香りがイッパイとなりました。
正雄君の小学生時代、若宮祭りは最大の興奮行事!2日間とも学校には行かず(特別休日?)朝から町内のお休み処に集合「子ども獅子」をかぶり、大声で「元気を出してワッショイ!!」と叫びながら近所を乞食獅子で小遣い稼ぎ。夕刻には集めた小銭を握りしめ本町通りのバザー「買いにオイデー」、暗くなると境内の町内テントや夜店で悪童たちと大騒ぎ、イタヅラの最高潮は提灯破りの喧嘩騒動!!懐かしい思い出いっぱいの無礼講でした。
コロナ疫病で中止が続いた栄ミナミ音楽祭、南大津通り歩行者天国、「どまつり」、栄ミナミ盆踊り@GOGO、コスプレサミット、住吉祭りなどの楽しいイベントの早期・再開が期待されます。
岡谷鋼機前のからくり披露。今年は「コロナ退散」祈願 |
那古野神社へ神輿渡行:毎年東海高校同級生が担いでくれます。73歳でも元気な仲間たち! |
若宮の歴史
若宮八幡社の祭神は仁徳天皇、応神天皇、武内宿禰命(たけのうちのすくねのみこと)で、大宝年間(701~704)に那古野庄今市場(現名古屋城の三之丸付近)に創建と伝えられます。
亀尾天王(三之丸天王社=現那古野神社)とならんで名古屋の総鎮守として鎮座していましたが、慶長15年(1610)名古屋城築城の際に、神占によって現在地に遷座しました。
江戸時代、社領は現在の3倍ほど、200石の扶持も与えられ歌舞伎小屋・見世物屋台が立ち並び、芸人も多く町衆もお武家さんも分け隔てなく楽しめるチョットした遊興地でもあったようです。
平成22年名古屋開府四百年と共に遷座400年祭は住吉町がまつり実行委員会を担当し、祭礼では境内にて久田勘鴎能楽師による薪能奉納、10月の名古屋まつりでは市内の山車22両が早朝に若宮に集合本町通りを名古屋城まで渡御など、盛大に実施されました。
平成22年薪能奉納(本殿前境内) |
住吉町蔦茂前にてからくり・力持ち披露 |
「東照宮祭」、「三之丸天王祭」とともに、名古屋三大祭りに数えられるのが「若宮祭」。若宮祭は寛文4年(1664)に始まり、寛文11年(1671)からは傘鉾が出て本格的な祭礼となりました。若宮祭に最初に山車が登場したのは、その3年後の延宝2年(1674)のことで、有名な末広町の黒船車など5輛の山車でした。
その2年後には、住吉町の山車と現存する大久保見町の福禄寿車が参加し、7輛の山車が揃うことになります。
昭和20年(1945)の空襲で本殿とともに氏子町内の大半が焼失しますが、昭和24年(1949)に社殿は復興されています。
明治以後に氏子区域の変更が行われ、広小路以北を那古野神社、それより南から大須界隈までが若宮八幡社の氏子地域となっています。
八幡社境内に大久保見町と住吉町の山車蔵があったため焼け残った福禄寿車と河水車も、昭和22年(1947)に出来町(名古屋市東区)に売却されついに若宮から山車が消える事態となってしまいました。
現存する若宮の山車:若宮祭の山車は各地に払い下げられ、現在は3輌が活躍中。
しかし、その2年後の昭和24年(1949)に若宮八幡社が復興されるとともに、福禄寿車は再び当地に返車され、若宮祭の山車はついに1輛のみとなってしまいました。(尾張の山車祭り・若宮祭のHPより一部引用)
返還された福禄寿車は若宮八幡社の所有となり、祭礼時に氏子8町内(末広町・裏門前町・南大津通り・矢場町・住吉町・鉄砲町・池田瓦町・門前町)が順に当番町をつとめることで運営されます。
5月15日の試楽祭には、若宮八幡社境内で囃子と山車からくりの奉納が行われ、夜は福禄寿車に提灯を飾ります。翌16日の例祭日は、神輿とともに那古野神社(名古屋市中区丸の内)まで渡御が行われます。
新しい若宮八幡社
社務所前の案内板
6月1日晴天に恵まれご朱印帳を携えた多くのご婦人方が訪れ、山車蔵も解放されマルシェで賑わっておりました。現在の副野均宮司の着任される前は、境内は駐車場として毎日100台以上の利用もあり、大きなパーキングロットの中に本殿があるという寂しい状況でした。運営資金面では駐車場収入で安定するものの風格と威厳に乏しく、若宮会館も老朽化が激しく駐車場の中での婚礼という課題多き状況といえました。
現在は「若宮の杜迎賓館」として新築。名古屋観光ホテルに運営委託してオシャレな集いの場となっております。また、平成26年から始めた「鎮守の森緑化計画」で氏子を中心に協力し梅や榊の植樹、そして保存樹の楠(戦災でも焼け残った)、銀杏、橘、桜、縁結びの連理木など小鳥さえずる憩いの場となってまいりしました。
令和3年3月26日には住吉社北に秀吉・家康に仕えた蜂須賀小六にゆかりのある「蜂須賀桜」を徳島より苗木をいただき、小生が植樹させていただきました。これから2月に開花する早咲き桜として楽しみになりました。
今夏は7~8月の縁結び風鈴まつり、毎月1日恒例の「若宮の森マルシェ」、6月30日16:00~大祓式・「夏越の祓い」、7月25日16:30~茅の輪くぐり・赤丸神事にもお気軽にお立ち寄りください。
そして、連理稲荷、神御衣神社、針塚、そして、新しく井戸を掘り「水みくじ」など見どころいっぱい、市民の憩いの場としての若宮の散策をお楽しみください。
人気の若宮マルシェ 令和4年6月1日 |
社務所・御朱印帳 |
住吉社前での小生、後方に蜂須賀桜 |
本殿前の水みくじ |